建築写真において不要物(電線、室外機、目地)を消して悪くなる事はありません。ノイズを消せば消すほどに良い印象を与えます。ただ、それらレタッチ処理(不要物を消す)を施すと建築写真は、現実と乖離していきます。電線、電柱、標識や看板が乱立しているのが日本の景観です。
レタッチ処理とどう向き合うかは、建築写真を続けていく上でとても重要だと思っています。設計と施工の結果、上手くいかなかった部分をレタッチ処理で見えなくする事は、広告的には正解でも、記録的には劣化していきます。写真を美しく仕上げる事も重要ですが、建築のおかれている環境や、設計、施工の精度を伝える媒体として、偽りのない強い写真を残していきたいと考えています。